噛んだ時痛い
「噛むと痛い=虫歯」とは限りません
食事中に「ズキン」と痛みが走る、特定の歯で噛むと違和感がある――そんな症状があると、多くの方は「虫歯かもしれない」と考えます。
しかし、当院で「噛むと痛い」という患者さんを診察していると、実際に虫歯が原因であるケースは意外と少ないのが実情です。
噛んだ時の痛みには、虫歯以外にもさまざまな原因が考えられます。
噛むと痛みが出る時に考えられる主な原因
①噛み締め・食いしばり
当院の診療経験では、「噛むと痛い」という症状の8~9割は、噛み締め・食いしばりが原因です。
日中の無意識な食いしばりや、就寝中の歯ぎしりによって、歯や歯を支える組織に過剰な負担がかかり続けると、噛んだ瞬間に痛みを感じるようになります。
ご本人に自覚がないことも多く、「そんなに噛みしめているつもりはない」とおっしゃる方がほとんどです。
②歯の破折(ひび・割れ)
歯にひびが入っていたり、見えない部分で割れていたりするケースも少なくありません。
破折は目視では確認しにくいことが多く、レントゲンでも写らない場合があります。
特定の角度で噛んだ時だけ痛む、硬いものを噛んだ瞬間に鋭い痛みが走るといった症状が特徴です。
③歯周病による動揺
歯周病が進行して歯を支える骨が減ると、歯がグラグラと動くようになります。
この状態で噛むと、歯が揺さぶられて痛みを感じます。
歯周病が原因の場合、ご自身でも「歯が動いている気がする」と気づいていることが多いです。
④根の先の炎症
過去に神経を取る治療をした歯や、神経が死んでしまった歯では、根の先に膿が溜まって炎症を起こすことがあります。
この膿が圧迫されることで、噛んだ時に鈍い痛みや重い感覚が生じます。
「虫歯で噛んで痛い」は、実は末期のサイン
「噛むと痛い」と聞くと虫歯を連想しがちですが、虫歯が原因で噛んだ時に痛みが出るのは、実はかなり進行した状態です。
虫歯がそこまで進行している場合、痛みよりも先に「歯に大きな穴が開いている」ことに気づくはずです。
舌で触れば穴がわかる、食べ物が詰まるといった自覚症状の方が先に現れます。
つまり、「穴は開いていないけれど噛むと痛い」という場合、虫歯ではなく別の原因を疑う必要があるのです。
原因の特定が難しいケース
噛んだ時の痛みは、原因がすぐに特定できないこともあります。
当院の経験上、検査をしても原因がはっきりしないケースでは、最終的に「噛み締め・食いしばり」か「歯の破折」のどちらかであることがほとんどです。
どちらも目に見えにくく、患者さんご自身も自覚しにくいという共通点があります。
そのため、症状の経過を丁寧にお聞きしながら、一つひとつ可能性を探っていくことが大切になります。
噛み締め・食いしばりへの当院のアプローチ
噛み締め・食いしばりが原因と考えられる場合、当院ではナイトガード(マウスピース)をおすすめすることがあります。
当院では、柔らかいタイプと硬いタイプの2種類のナイトガードをご用意しています。
患者さんの症状や噛み締めの強さ、お口の状態に合わせて、どちらが適しているかをご提案いたします。
ナイトガードは就寝中に装着することで、歯や顎にかかる負担を軽減し、症状の改善や悪化の予防につなげます。
受診のタイミングの判断
噛んだ時の痛みがある場合、以下を目安にご判断ください。
様子を見て良いケース
- 痛みが一時的で、その後は気にならない
- 特定の硬いものを噛んだ時だけ違和感がある
- 日常生活に支障がない程度の軽い痛み
など
早めの受診をおすすめするケース
- 痛みが数日間続いている
- 噛むたびに同じ歯が痛む
- 歯がグラグラする感覚がある
- 噛んだ瞬間に鋭い痛みが走る
- 歯茎が腫れている、膿が出ている
など
特に、噛むたびに鋭い痛みがある場合は、歯の破折が疑われます。
破折は放置すると歯を残せなくなる可能性もあるため、早めの受診をおすすめします。
痛みの原因を、一緒に探していきましょう
「噛むと痛い」という症状は、原因が一つとは限らず、複数の要因が重なっていることもあります。
当院では、患者さんのお話を丁寧にお聞きしながら、痛みの原因を一つひとつ探っていきます。
「何となく気になる」という段階でも構いません。
お早めにご相談いただくことで、歯を守る選択肢が広がります。
噛んだ時の違和感や痛みが気になる方は、どうぞお気軽にご来院ください。