子どもの歯の外傷
お子さんの歯のケガ、慌てずに対応するために
お子さんが転んで歯をぶつけた、口から血が出ている――そんな時、保護者の方が慌ててしまうのは当然のことです。
お子さん自身も泣いていて、状況がよくわからないまま不安になる方も多いと思います。
当院は近くに小学校があることもあり、お子さんの歯の外傷で来院される方が多いです。
そうした経験から言えるのは、事前に「どう対応すれば良いか?」を知っておくだけで、いざという時に落ち着いて行動でき、その後の経過も良くなるということです。
外傷が起きやすい年齢と場面
歯の外傷を診ることが多いのは、3~6歳くらいのお子さんです。
特に4~7歳頃までは、外傷で来院されるケースが目立ちます。
この年齢のお子さんは、体を動かすことが大好きで活発になる一方、まだ身体能力が十分に発達していません。
危険を察知しても避けきれない、転びそうになっても手が出ない――そんな時期だからこそ、歯をぶつけてしまう事故が起きやすいのです。
よくある外傷の場面
- 廊下や教室で走っていて転ぶ
- 友達とぶつかる
- 階段や手すりに顔をぶつける
- 鉄棒から落ちる、鉄棒に口をぶつける
- 外で遊んでいる最中に転倒する
など
また、3~6歳頃は前歯がまだ乳歯の状態であることが多く、外傷の多くは乳歯に起こります。
永久歯が割れたり折れたりするケースは、乳歯に比べると少ない傾向にあります。
落ち着いて確認すべきこと
お子さんが歯をぶつけた時、まずは落ち着いて以下の点を確認してください。
- 出血はどこからか(唇、歯茎、歯の根元など)?
- 歯がグラグラしていないか?
- 歯の位置がずれていないか?
- 歯が欠けていないか、折れていないか?
- 歯が抜け落ちていないか?
- お子さんが痛がっている箇所はどこか??
出血があると驚いてしまいますが、口の中は血流が豊富なため、小さな傷でも出血量が多く見えることがあります。
まずはガーゼやティッシュで軽く押さえて止血しながら、上記の項目を確認しましょう。
子どもに多い歯の外傷
お子さんに多い外傷は、以下のようなものです。
軽度の外傷
- 歯をぶつけて唇が腫れる
- 唇の内側が切れる
- 歯茎から出血する
など
これらは比較的軽度で、適切な処置をすれば問題なく治癒することがほとんどです。
やや重度の外傷
- 歯がグラグラする(亜脱臼)
- 歯が奥に押し込まれる(貫入)
- 歯の一部が欠ける、折れる
など
亜脱臼や貫入の場合は、麻酔をして歯を元の位置に戻す処置が必要になることがあります。
なお、縫合が必要になるほどの大きな傷は、実際にはそれほど多くありません。
当院でも実際に縫合が必要だったケースはほとんどありません。
多くの場合、見た目ほど重症ではないことが多いので、まずは落ち着いて受診してください。
応急対応でやって良いこと・避けたいこと
汚れがある場合
砂場で転んだ、地面に顔をぶつけたなど、傷口に汚れがついている場合は、水道水で洗い流してください。
血液が固まってくると、砂や汚れが取りきれなくなってしまいます。
本来は生理食塩水の方がしみにくいのですが、ご家庭では水道水で十分です。
歯が抜けてしまった場合(特に永久歯)
永久歯が根元から抜けてしまった場合、対応次第で歯を元に戻せる可能性があります。
以下の点に注意してください。
やってはいけないこと
- 歯を水でゴシゴシ洗う(歯の根についている歯根膜が傷んでしまいます)
- 歯を乾燥させる(乾燥が最もダメージを与えます)
ベストな対応
- 抜けた歯をお子さんの口の中に入れて来院する
- または、抜けた箇所にそのまま戻して来院する
誤飲が心配な場合
- 牛乳に浸けて持ってくる
ただし、牛乳がすぐ手元にない場合は、買いに行くよりも歯科医院を受診することを優先してください。
最低限の対応
- 濡らしたティッシュにふわっと包んで乾燥を防ぐ
歯を元に戻せるかどうかは、抜けてからの時間と保存状態に大きく左右されます。
迷ったら、とにかく早くご連絡ください。
すぐに受診が必要なケース
以下のような場合は、できるだけ早く歯科を受診してください。
- 歯が根元から抜けている(特に永久歯)
- 歯が大きく欠けて、中にピンク色や赤い部分が見える(神経が露出している可能性)
- 歯の位置が明らかにずれている
- 出血が止まらない
- 歯がグラグラして今にも抜けそう
など
神経が露出している場合は、早急な処置が必要です。
歯が欠けた断面に赤みがある場合は、すぐにご連絡ください。
慌てず、しかし早めにご連絡を
お子さんの歯のケガは、突然起こるものです。
その時に慌てないためにも、「こういう時はこうすれば良い」という知識を持っておくことが大切です。
当院では、お子さんの外傷に迅速に対応できる体制を整えています。
判断に迷う時は、まずはお電話でご相談ください。
状況をお聞きして、すぐに来院すべきか、様子を見て良いかをお伝えいたします。